自動車メーカーの生産工場から届いた一つの相談が、弊社の技術の限界に挑む開発プロジェクトへと発展しました。
数分に1台というペースで完成車が流れる生産ライン。車種・グレードが混在する中で、見た目のよく似たボルトの取り付け間違いをゼロにしたい――そんなシビアな要件に応えるべく、弊社は新たなシステム「ポカヨケシステム」の開発に着手します。
本記事では、そのポカヨケシステムが完成するまでの苦難に満ちた開発の軌跡と、完成したシステムが現場に定着するまでの道のりをご紹介します。
自動車メーカーの生産工場から届いた一つの相談が、弊社の技術の限界に挑む開発プロジェクトへと発展しました。
数分に1台というペースで完成車が流れる生産ライン。車種・グレードが混在する中で、見た目のよく似たボルトの取り付け間違いをゼロにしたい――そんなシビアな要件に応えるべく、弊社は新たなシステム「ポカヨケシステム」の開発に着手します。
本記事では、そのポカヨケシステムが完成するまでの苦難に満ちた開発の軌跡と、完成したシステムが現場に定着するまでの道のりをご紹介します。

「こんなことできませんか?」
と、とある国内自動車メーカーの生産工場からご相談がありました。
その工場では、ナンバーさえ取得すればそのまま公道を走ることができる「完成車」が、数分に1台というハイペースで生産されています。
しかも、生産ラインには車種違いやグレード違いの車両が混在してどんどん流れてくる……非常に複雑ですが、生産ラインを止める余裕などないシビアな現場です。
解消を掲げる課題は、「ボルトの取り付け間違いをゼロにしたい」というもの。
一口にボルトといっても、車種やグレードによって取り付けるものが異なるそうです。見た目はそっくりなのに、別規格品が混在しているという難しさ。
目視確認に頼ると、見間違いや思い込みによるミスは避けられません。
エラーをゼロにするためには、人的判断に依存しない仕組みの確率が必要不可欠でした。
そこで候補に挙がったのが、弊社の「画像検品システム」だったのです。
しかし、画像検品システムだけでは要件を実現できないため、画像照合の技術だけ流用し、新しいシステムを開発することになります。
新システムの仕組みは、
というものです。間違えたら生産ラインを止めるという、本気のポカヨケ実現のために動き出したのでした。
しかし、検証を開始した私たちの前に、環境という壁が立ちはだかります。
ボルト取り付け工程の現場は、生産中の車両の内部。暗く、狭く、さらに金属特有の反射があります。
画像認識にとって、これ以上ない悪条件がそろっていました。
当然、精度が出せず頭を悩ませる私たちでしたが、問題はそれだけではありません。
検証条件までもが非常に過酷なものだったのです。
テストできるのは休憩時間で生産ラインが停止する間のみ。それ以外でラインを止めることは許されません。ラインが動いている時間も限られています。
失敗が許されない検証を、厳しい環境でやり続けるしかないという状況でした。

現場での作業自体は非常にシンプルなものです。検証し、修正する、という流れをひたすらに繰り返しました。
ライン稼働中は精度を観察・調整し、休憩時間になれば即テスト。
ヘルメットを着用し、ラインの横に立ち、十分な空調のない現場で検証を繰り返すことは、普段空調の効いたオフィスでPC作業をしている私たちに、直接的な疲労としてのしかかってきました。
我々の本社がある茨城県から現場まで片道6時間かけて出向き、数日間ホテルに滞在。その間に改善が進まなければ一度帰社してプログラムをブラッシュアップし、また6時間かけて現場へ―—そんなサイクルを何度も何度も繰り返しました。
何度も壁にぶつかりながら、それでも挑戦をやめなかったのは、「ここで引いたら終わりだ」という一念と意地でした。
何度目かわからない検証の際、現場担当者が一言、「これ、いけるな」とおっしゃいました。
その一言で本番リリースが決定し、とうとう「ポカヨケ システム」が世に出ることになったのです。
リリース直後、担当の方からこのような言葉をいただきました。
「実は、正直できるとおもっていなかったんです。無理だと思っていました。日本全国で探したんですが、対応できる会社がどこにもなくて。技術的に、これが実現できるのは5年後になると思っていました」
噛みしめるように話すお客様を見て、我々に達成感と安堵、そして「うちの技術は、5年先にいるんだ」という自信がわきあがってきました。
弊社の社名「センクリード」には、「時代を先駆し、常に業界をリードする企業でありたい」という決意が込められています。
社名にかけた思いを、実際に価値としてお客様にお届けすることができている。そのことを改めて実感した私たちは、さらに先を行く技術を追求し続けようという、新たな決意を固めました。
ここまでお話ししてきた、自動車メーカー様に導入いただいたポカヨケ システムは、現在も安定して稼働し続けています。
数年が経過してなお現場で使い続けられているということは、単に動作するだけでなく、現場の方々に作業の一部として受け入れていただけた証拠です。
このプロダクトの価値は、画像認識でもAIでもOCRでもありません。現場が無理だとあきらめていたことを、現場で使える形で実現した事実そのものが価値なのです。
ポカヨケ システムはさらにブラッシュアップを重ね、食品業界、通信業界、建設機械業界など、多種多様な業界のお客様に導入いただいています。

センクリードのポカヨケ システムは、検品対象を撮影するだけでOK/NGを判定。検品対象に新しくバーコードなどを付与する必要がないので、余計な手間がかからないのが特徴です。
ラベルの文字やテープの色、金属に刻印された文字やマークなど、さまざまな対象の判定が可能です。