株式会社センクリード

OCR導入を成功させるため、最初にやるべきことについて

AI-OCRの性能は大きく向上しました。しかし現場では今も、「導入したけどかえって手間が増えた」「結局、人が直している」という声が絶えません。

実は、これらの原因はOCRの精度ではありません。原因は「導入の最初にやるべきことを飛ばしてしまっている」ということにあります。

現場の抵抗を生まないOCR導入を成功させるために、本当に最初にやるべきこととは何か。3つのステップで解説します。

OCR導入が失敗する最大の原因

OCR導入で失敗するケース

AI-OCRはここ数年で性能が大きく向上しました。以前であれば難しかった帳票や手書き文字も、かなりの精度で読み取れるようになっています。

それでも現場からは、こんな声がよく聞こえてきます。

「OCRを入れたけど、かえって手間が増えた」
「結局、最後は人が確認して修正している」
「現場が使いたがらない」

一見OCRの精度や製品選定に問題があるのでは、と思ってしまいがちですが、実は違います。

これらの原因の多くは、導入の最初にやるべきことを飛ばしてしまっている点にあります。

最初にやるべきことというのは、「どの作業が、人の手を離れたら成功なのか」というのをしっかり決めることです。

ここを飛ばすと、現場が使用を嫌がるシステムになってしまうのです。

 

よくある失敗例

OCR導入に失敗した案件は、多くが次のように進んでいます。

  1. OCRツールを探す
  2. 精度や価格を比較する
  3. 実証実験を行う
  4. 現場に展開する

普通の流れに見えますが、この進め方で導入してしまうと、高確率で「現場が使ってくれない」状態になります。

なぜなら、現場にとってのメリット、「楽になる理由」が一切定義されていないからです。

現場からすると、突然新しいツールを渡されて「使ってください」と言われるだけ。
覚えることが増えたり、作業手順が増えたり、現場に抵抗感が生まれるのは当然のことです。

 

成功するOCR導入の最初の一手

人の手でやりたくない作業について考える人

OCR導入の理想のスタート地点は、「この作業だけは人の手でやりたくない」と思う作業を1つ決めることです。

1つに絞ったほうがいい理由は、こちらの記事で解説しています。

候補となるのは、下記のような作業です。

  • 毎日行っている単調なデータ入力作業
  • 月末にまとめて行う転記作業
  • Wチェックが必要な検品作業
  • 属人的な入力工程

これらはあくまで一例ですが、とにかく煩わしい作業を1つ、これと決められるかが、大きな分かれ道になります。

重要なのは、「帳票をすべてOCR化する」「完全にペーパーレス化する」というような大きな目標を掲げることではありません。

小さな成功をひとつひとつ積み重ねていくことが大切なのです。

 

許容範囲をしっかり決める

現場の方がOCRを嫌がる最大の理由は、「完璧を求められること」にあります。

「OCRを入れるんだから、間違いは絶対なくさなければいけない」というような圧を感じてしまうのです。

100%の精度が出せるOCRというものは存在しないので、そこで現場ともめることになる場合が多々あります。

導入前に、現場の方と次のような点について話し合っておく必要があると言えるでしょう。

  • 誰が、どうやって最終確認をするのか
  • 100%正しく読めないと効率化できないのか
  • 読み取り結果を多少手修正することは許容できるのか

ここをあいまいにしたまま導入してしまうと、「結局人がチェックすることになるなら意味がない」という感情が生まれ、OCRが使われなくなります。

許容範囲を先に決めておくことは、現場の心理的ハードルを下げることに直結するのです。

 

現場を巻き込むときの注意点

現場との相談が重要だとお伝えしましたが、現場の方に説明する際の内容も非常に重要です。

AIの精度の高さや導入事例などは、説明してしまいがちですが、実は意味がありません。

現場の方が知りたいのは、

  • OCR導入によって、自分の作業は減るのか
  • 覚えることが増えてしまわないか
  • ミスしてしまったときに叱責されないか

といった点です。OCRに関する難しい話題には興味がないというのが本音です。

現場の方に寄り添った説明をして、直接OCRを試してもらい、楽になった感覚を持ってもらう。小さな成功体験が、現場の方の考え方や雰囲気を変えてくれます。

 

OCR導入は、技術導入ではなく「業務設計」

現場に抵抗感を与えないOCR導入を成功させるために必要なのは、

  1. やめたい作業を1つだけ決める
  2. 100%の精度は出せない前提の合意を得て、その上での使い方を決める
  3. 小さな規模からスタートして、楽になった実感を早く作る

という3ステップです。

OCRは現場を管理するための道具ではありません。現場を楽にするための道具でなければいけないのです。

これは当たり前のようでいて、導入を進める側が忘れてしまいがちなことです。

OCRは正しく使えば、必ず現場の役に立ちます。しかし、順番を間違えると、どれだけ性能が高くても失敗してしまうリスクがある、繊細なツールです。

OCR導入に一番大切なのは、ツールの選定や精度ではなく、「順番」。ぜひ、覚えておいていただければと思います。

 

※業務内容によって最適な進め方は異なります。その現場の実態に合った進め方を検討することが大切です。

 

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